はじめに
人工知能(AI:Artificial Intelligence)が近年注目を集めています。
高齢化による労働力不足や働き方改革といった社会的懸念を解決できる期待感から、ある調査によればこの分野の市場規模は近年のうちに3900億ドルを超えると予測されているほどです。
これに伴い、人工知能を用いたアプリケーションやシステムを構築するAIプログラマー人材の需要が高まると見られています。
人材不足や業務内容が複雑であることから、年収も高く1,000万円台を超えることもあるようです。
この記事では、AIプログラマーの仕事内容や、初心者から目指す場合にやるべきことを紹介します。
AIとは?
人工知能(AI)と一言にいっても、様々な定義があります。
アメリカの哲学者ジョン・サールが提唱した「強いAI」「弱いAI」という分類によれば、前者は自意識を持った人間の代わりになるようなもの、後者は人間が持つ知性の一部を有し特定の仕事を行うものを指します。
近年ビジネスへの応用事例が増えているのは後者ですね。前者が映画に出てくるような人工知能のイメージですが、世の中に出てくるのはまだ先のことになりそうです。
以降、この記事では後者の「弱いAI」を指して「AI」や「人工知能」という用語を用います。
AIを実現する肝の技術は機械学習とディープラーニングです。この単語も耳にされたことがあるかもしれません。
本記事では詳しい説明を省きますが、簡単にいうと膨大なデータからとある特性に基づいて傾向を学習し分類や予測を行うための技術です。
この「とある特性」を人間が予め選定する必要があるのが機械学習、人工知能が自分で「とある特性」の選定まで行うのがディープラーニングで、さらにこれらも学習方法の違いによりいくつかの種類に分類されます。
AIの応用技術
AIの基本機能はデータの分類や予測ですが、これらは一体どのように応用されるのでしょうか?
こちらも実に様々ですが、主に下記のような用途に使用されています。
画像認識
画像の中から人間の顔が写っている部分を検知する顔認識技術や、どんな物が映り込んでいるかを予測する物体認識などの用途に使用されます。
顔認識はカメラのオートフォーカス機能や撮った写真の分類等に欠かせない技術となりました。物体認識は自動運転等の分野で活用されていますね。
音声認識
音声信号を分析して話している言葉やその話者を認識します。スマートスピーカー等に搭載されていますね。
あくまで音声信号から語を抽出する部分が音声認識によって担われており、その意味を分析するには次に挙げる自然言語処理が活用されます。
自然言語処理
テキストデータの羅列からその意味合いを理解します。SiriやAlexaに代表されるAIアシスタント機能や検索エンジン、翻訳機能等で活用されていますね。
スマートスピーカーやスマートフォンでのAIアシスタント活用が広がることで学習データがどんどん集まり、さらなる発展を遂げている過程です。
AIプログラマーが活躍する業界は?
それでは、どのような業界でAIプログラマーが活躍しているのでしょうか。
モビリティ
自動車の自動運転やドローン・ロボットの自動制御には人工知能が欠かせません。モビリティ本体に取り付けられたカメラや様々なセンサから入ってくる情報を瞬時に処理して次の動きを判断し、その通りに動かすために活用されます。
スピードと正確性が何より重要なので、様々な機械学習アルゴリズム知識に熟知していること、ある程度のハードウェア知識も求められるでしょう。
金融システム
金融商品の価値予測を行い、投資者へのアドバイスまたは代理運用まで行う用途への注目が高まっています。従来、熟練した人間が行っていた業務を人工知能が行うことでコストを下げることができるためです。
同様に保険商品の価値判定や、消費者金融の金利判定にも応用され始めています。
こうした金融商品の分野で活躍するエンジニアには、統計や確率等の数学知識を求められる場面も多いです。
医療システム
医療現場はデータの宝庫です。大量の症例・レントゲン写真やカルテなどの情報から、治療方法や新薬を見つけるための応用が始まっています。
また、個別の患者の症状やレントゲン写真から病名を予測したり、遺伝子情報から将来発生し得る病気と対策を提案するサービスもあり、こちらも人工知能の活用事例の一つです。
適切な生活習慣・運動習慣を提案するアプリが人気を集めている通り、ヘルスケア分野での活用も期待されています。
初心者がAIプログラマーになるには?
まず、AIの研究者とプログラマーは別物と考えましょう。研究者の目的は最新の人工知能技術を探究し、自社のシステムにどう取り込めばより良いものにできるかを考えることです。
実際の設計を誰が行うかは案件により異なりますが、AIプログラマーはこの設計に基づきコーディングを行うのが役割です。
もし研究者を目指したい場合は、今のところは大学に入り人工知能分野を専攻するほか道がありません。
初心者の状態からAIプログラマーになるにはもう少しハードルが低いです。主には下記のことに取り組むのが良いでしょう。
機械学習の基礎知識を身につける
AIの中核をなすのが機械学習なので、この基礎知識がなければ現場で会話が成り立ちません。
まずは初心者でも入り込みやすい書籍を読んで知識を身につけましょう。
おすすめは下記です。
人工知能は人間を超えるか(松尾豊、角川EPUB選書)
AI研究の第一人者である松尾豊氏による「いま人工知能ができること、できないこと、これからできるようになること」を初心者にもわかりやすく説明した本です。
まずは人工知能と自分との距離を縮めるための導入としておすすめです。
見て試してわかる機械学習アルゴリズムの仕組み(秋庭伸也ほか、翔泳社)
機械学習にも様々なアルゴリズム(処理の考え方やその方法)があり、用途により向き不向きがあります。どのようなアルゴリズムがあって、動きがどう違うのかを説明した本です。
これは実際にプログラムを書きながら学ぶ前提となっているため、次項で述べる「Pythonスキル」を身につけた後に取り組むのが良いでしょう。
Pythonのスキルを身につける
GitHub公式ブログによりますと、GitHubで機械学習(”machine-learning”)というトピックでタグづけされたリポジトリのうち、最も多く使用されている言語はPythonです。
これは、多くの機械学習や統計処理に関する人気ライブラリがPythonのものであるためと想定されます。
C言語やJavaなどでも人工知能の実装は可能で、それぞれライブラリもありますすが、もはや人工知能といえばPythonというスタンダードが定着しているというのが業界の共通認識です。
そのため、新しく人工知能のための言語を学ぶならばPythonをおすすめします。
なお、ProglusでもPythonの講座を準備中です。受講可能となり次第、こちらでもお知らせいたします。
AI分野の資格を取得する
必須ではありませんが、AI分野の資格を取得しておくとAIプログラマーの職を得るにあたって知識をアピールしやすいです。
E資格
E資格は、日本ディープラーニング協会が運営している認定試験です。同協会のAI資格にはもう一つ「G検定」がありますが、そちらがジェネラリスト(ビジネス寄り)向けの試験なのに対し、E資格はエンジニア向けの試験となっています。
受験には同協会が実施するJDLA認定プログラムの受講が必須です。
受講料やプログラムの受験料は決して安くはありませんが、AIに関して広く学びつつ資格も取りたい場合にチャレンジすると良いでしょう。
Pythonエンジニア認定データ分析試験
Pythonソフトウェア財団のスポンサーである一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主宰予定のPythonエンジニア認定データ分析試験は、Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う試験です。
まさに業務内容に直結したスキルのアピールになりますね。
現時点で試験はまだ準備中のため、要綱や実施時期については公式ページにて適宜確認してください。
まとめ
AIプログラマーの仕事内容と、初心者からAIプログラマーを目指すためにやるべきことについて紹介しました。
決して簡単な道ではありませんが、人材不足が深刻視されている分野ですので、チャンスは大いにあります。
次から次へと新技術が開発されるため、新しいことを楽しく学べる方にはおすすめの職業です。
我こそはという方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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