プログラミング言語を学んでいると「この言語はどうやって開発されたんだろう?」と疑問に思うことはありませんか?
開発の経緯や背景を知っていると、より興味を持って学習が進められますね。
この記事ではHTMLの歴史について簡単に紹介します。
本記事の内容を動画でも解説しています。
HTMLは1989年、スイスのジュネーブにあるCERN(欧州原子核研究機構)のイギリス人研究者であるティム・バーナーズ・リー博士によって開発されました。
研究所内では多くの研究者により様々な研究が為されていましたが、膨大な論文の中から関連する資料を探し出すのは一苦労で、より簡単に研究者同士が進捗状況や研究成果を共有できるようにする必要があったのです。
ティム・バーナーズ・リー博士はこの目的のためにハイパーテキストシステムを考案し、ある論文から別の参考文献へリンクを貼ってすぐに参照できるようにしました。
これがインターネット上でドキュメントやメディアを互いに参照しあうハイパーテキストシステムであるWorld Wide Webが生まれた経緯です。
そして、このシステム上のドキュメントを記述するための言語としてHTML(Hyper Text Markup Language)が開発されました。
下記が1991年、ティム・バーナーズ・リー博士によって世界で初めて公開されたウェブサイトで、現在は復刻版として公開されています。
博士はこの偉大な功績を称えられ、2016年にIT界のノーベル賞ともいわれるチューリング賞を受賞しています。
なお、インターネットが開発されたのは別の経緯であり、1969年にアメリカの国防総省にて情報共有を目的に開発されたARPANET(アーパネット)が起源です。
開発以後、HTMLは何度かのバージョンアップがありました。
下記が主要なHTMLのバージョンです。
HTML4.01やXHTML1.0が10年以上使用されていましたが、現在では新規のプロジェクトに関してはHTML5またはそのマイナーアップデート版が使用されます。
HTML5はフォームに使える部品やスマートフォン向けの機能等を大幅にアップグレードしたもので、ビデオをページに埋め込むことも可能となりました。
このようにHTML5はHTML4の良い部分を残しつつ、新しいニーズに合った機能が追加されています。
なお、XHTMLとはExtensible Hypertext Markup Languageの略称で、拡張性の高いマークアップ言語であるXML(Extensible Markup Language)の文法で書き直したものです。
HTMLでは複雑な数式や化学式を表現することができなかったため、XMLの拡張性を取り込みつつ、ブラウザでも表示できるよう新たに開発されたのがXHTMLです。
しかしながら後発のHTML5でMathMLやSVGといった機能を埋め込んで数式や化学式の表示が可能となったため、2009年に開発が中止されました。
W3C(読み:ダブリュースリーシー)はWorld Wide Web Consortiumの略称で、World Wide Webで使用される各種技術の標準化を推進するために設立された非営利の標準化団体です。
先述のティム・バーナーズ・リー博士が1994年に創立し、その後も率いています。
数百の企業や団体が参加してWWW技術の標準化や教育活動を行っており、HTMLの仕様もこの団体によって決定されているわけです。
一般に標準化の作業はとてつもない時間と手間がかかるといわれますがHTMLも例に漏れません。
W3C勧告(正式にW3Cが仕様として認めること)となるまでには多くのステップが必要で、また、勧告後も間違いがあれば「第○○版」といった形で更新されていきます。
HTMLの歴史と関連情報を紹介しました。研究成果の共有を目的に開発された技術が、今やここまで世界中の人々からありとあらゆる目的で活用されているのは驚きですね。
開発者本人であるティム・バーナーズ・リー博士もまさか数十年でこんな世界になるとは予想できていなかったかもしれません。
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